シンガロング

この大学に来て8年。酸いも甘いも、無上の喜びも悲しみも、いっぱい味わってきた。ただ、これまでの人生と大きく変わった点は、私の人生に音楽が加わったこと。

辛き院生時代は、空手や温泉と北海道の自然に救われてきたけど、この数年は音楽だった。カラオケもいかない、好きなアーティストもいない人生から、毎月のようにライブに行き、全力で自分を出し切るような楽しみ方も覚えた。ライブに行くことで自分自身が人生に対してポジティブになれる、強く自身と向き合うことができるようになる。私にとってはかけがえのない時間だし、どれだけ支えられているか…

ここ数年はbachoというバンドの出会いが大きい。姫路で活動をしているbachoだが、月1回以上は東京でライブがあるので、外せないような重要な仕事がある以外は、いつもライブライフハウスに向かい、拳を掲げて全力でライブを楽しみ、心から奥から染みて涙することも多い。もう四十を過ぎているのにと思われてもいい。恥ずかしくもないぐらい、大切な時間と言い切れる。

bachoのライブでは、シンガロングが起きる。シンガロングとは、観客が演者と一緒に歌うことを指す音楽用語。

私は歌うことが苦手だ。カラオケにも行けない。人前で歌うこともできない。入学式や卒業式で前にいるときも、口パクで声を出せない。

だが、bachoのライブでは、全力でシンガロングする。すべての曲ではなく、特定の曲の決まったところがあり、そこにくると、聴衆のほとんどが拳を掲げながらシンガロングする。私もそれに合わせて全力で…

もう、数十回はbachoのライブに行ったが、2017年の年末に神戸でのツアーファイナルのワンマンライブは忘れることができない。運よくセットリスト表をもらうことができて、サインも書いてもらえた。研究室にいつも飾っている。大切な宝物。今年2月のライブも本当によかった。この2つのライブが甲乙つけがたい。

シンガロングが起こる「最高新記憶」という曲。マイクロソフトが開発するAIのりんなが歌手デビューとして、エイベックスから「最高新記憶」をカバーする。決してメジャーな知名度ではないbachoだけど、多くの人に知ってもらいたいから、うれしいニュースであった。AIとは思えないほど、りんなの曲もいい。だけど、ぜひbachoを聞いてもらいたいと心から思った。

一番私がシンガロングできた「最高新記憶」。後半の私が一番ぐっとくるところの映像が公式twitterにあがっている。最後の最後で一番私が上がるところで切れているのは残念だけど…よかったら見てください。(切れたことは「この世界の誰もが孤独と葛藤の中で生きているから 慰めの言葉さえぎって、大丈夫だと言ってくれ」)

AIりんなの最高新記憶のyoutubeには歌詞があるので、bachoの世界観を堪能することができるので本当に良かった。卒業ソングっぽくなっているけどね。

bachoは愛の歌も多いが、それを私は教育や仕事のことに置き換えて聴いている。決して自己否定せず、ありのままの自分を受け入れながら、だけど頑張るんだ!といつも背中を押してくれる。だから、これからもずっとbachoのライブに行くだろう。

bachoの人気が高まり、ライブのチケットが取りづらくなってもいいので、bachoの音楽が多くの人が強く立ち向かう力となることを心から願って…